FP1級実技対策ノート⑨生命保険の活用
こんにちは。中小企業診断士のししまるです。本日FP1級実技対策ノートFP第9回。生命保険の活用です。
目次
生命保険を活用した節税策とは?
相続税の課税対象となる死亡保険金については、「500万✖法定相続人の数」まで非課税となります。非課税限度額に余裕がある場合には一時払い終身保険等への加入により節税が可能となります。
他の節税策と比較し、保険に加入するだけなので手続きが容易なこと、被相続人が保険金受取人を指定できることがメリットです。
デメリットとしては、保険の加入のためには手元現預金が必要であり、その現預金が固定化してしまうことが上げられます。
制度上の留意点
〇相続人以外の人が取得した死亡保険金には非課税の適用はありません。
〇法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
〇法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。
各人にかかる課税金額は?
各相続人一人一人に課税される金額は、次の算式によって計算した金額となります。
「その相続人の受取保険金額ー非課税限度額×その相続人の受取保険金額/全相続人の受取保険金額=その相続人に課税される保険金金額」
保険金の合計金額が非課税限度額の範囲内であれば、各受取人の保険金額が500万を超えていても非課税となります。
相続人の中に養子がいるとき
非課税限度額の計算は法定相続人の人数にを基におこないますが、相続人の中に養子がいるときに法定相続人数に加算されるのは、①被相続人に実の子供がいる場合は一人まで②被相続人に実の子供がいない場合は二人までです。
但し、次のいずれかに該当する場合は実子として取り扱われ、上記に関わらず法定相続人の数に含まれます。
①被相続人との特別養子縁組による養子
②被相続人の配偶者の実の子供で被相続人の養子
③被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によるその配偶者の養子で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
④被相続人の代襲相続人
養子縁組による節税策
上記の通り、養子縁組により相続人数が増加すると「死亡保険金等の非課税枠」が増加する他、「相続税方上の基礎控除」も増え、相続上の節税メリットは極めて大きいです。
一方、国税庁のホームページでも「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の数に含めることはできません」と記載されており、あからさまな節税目的の養子は税務当局による否認リスクがあります。
税務当局による否認のリスク
過去、養子にかかる節税の実施につき、税務当局より否認された事例はなく、今後も養子にかかる税務当局からの否認リスクは低いものと思われます。
但し、認知症などにより被相続人の意思能力が不十分な時に養子縁組を行ったり、危篤時に養子縁組を行うなど、民法上の養子縁組の有効性に疑義が生じるような養子対策は実行しないことが大切です。
まとめ
・生命保険を活用した節税策は大いに活用できる。
・メリットは活用が容易であり、被相続人が相続人を指定できること。
・養子を活用すれば、非課税限度額を引き上げることができる。