FP一級実技試験ノート④令和3年度税制改正
こんばんは。中小企業診断士のししまるです。本日はFP1級実技対策第4回。令和3年年度の税制改正についてまとめてみました。
目次
令和3年度税制改正の背景
昨年来の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、緊急事態宣言等により、戦後最大の経済の落ち込みに直面したことを背景に、令和3年度の税制改正はこじんまりとした内容となっています。過去の経済対策で期限付きであった税制上の優遇策については、おおむね延長されました。
FP1級実技試験に関係する税制改正一覧
FP1級実技試験に関係すると思われる税制改正は下記の通りです。
・教育資金の一括贈与
・結婚・子育て資金の一括贈与
・住宅取得等資金の贈与
教育資金の一括贈与の改正内容
項目 | 変更前 | 変更後 |
期限 | 令和3年3月31日まで | 令和5年3月31日まで |
受贈者 | ①30歳未満②前年の所得金額1000万円以下 | 変更なし |
贈与者 | 受贈者の直系尊属 | 変更なし |
限度額 | 1500万(学校以外への支払いは500万が限度) | 変更なし |
資金使途 | ①学校等に直接支払う入学金、学費、学用品、行事費用 ②学校等以外に直接支払う塾代、交通費、留学渡航費等 受贈者が23歳に達した以降の塾代等については教育訓練給付金の対象となる教育訓練の受講費用に限定されます。 | 変更なし |
手続き | ①金融機関等にて教育資金口座を開設し、金融機関等を経由で教育資金非課税申告書を所轄税務署に提出。 ②教育資金口座からの払い出しについては、直接支払いか、立て替え払い後領収書提出かを事前に選択する。 | 変更なし |
終了事由と課税 | ①受贈者が30歳に達した場合(但し、学校に在籍中である場合や一定の教育訓練を受けている場合は40歳まで延長可能)残額に贈与税が課税される。 ②受贈者が死亡した場合、残額があっても課税なし。 ③口座残高がゼロとなり、その口座にかかる終了の合意があった場合。 | 変更なし |
贈与者死亡時の課税 | 贈与者死亡時の残額のうち死亡前3年以内の相続財産に加算。(相続人でない孫等は2割加算外) 但し、下記に該当する場合は相続財産に加算されない。 ①受贈者が23歳未満である場合 ②学校に在学中である場合 ③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合 | 贈与者死亡時の残額を相続財産に加算。(相続人でない孫等は2割加算対象) 但し、下記に該当する場合は相続財産に加算されない。 ①受贈者が23歳未満である場合 ②学校に在学中である場合 ③教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講している場合 |
他の制度との併用 | 他の制度(暦年課税の基礎控除、相続時精算課税制度の基礎控除、住宅等取得資金贈与の非課税制度、結婚子育て資金の一括贈与の非課税制度)との併用可能 | 変更なし |
結婚・子育て資金の一括贈与の改正内容
項目 | 変更前 | 変更後 |
期限 | 令和3年3月31日まで | 令和5年3月31日まで |
受贈者 | ①20歳以上50歳未満②前年の所得金額1000万円以下 | 変更なし |
贈与者 | 受贈者の直系尊属 | 変更なし |
限度額 | 1000万(結婚費用は300万円以下) | 変更なし |
資金使途 | ①【結婚関連】挙式関連費用、新居に関する移転費用等 ②【子育て関連】不妊治療・出産に関する費用。小学校未満の子の医療費・幼稚園、保育園等の費用 | 変更なし |
手続き | ①金融機関等にて教育資金口座を開設し、金融機関等を経由で結婚・子育て資金非課税申告書を所轄税務署に提出。 ②結婚・子育て資金口座からの払い出しについては、直接支払いか、立て替え払い後領収書提出かを事前に選択する。 | 変更なし |
終了事由と課税 | ①受贈者が50歳に達した場合、残額に贈与税が課税される。 ②受贈者が死亡した場合、残額があっても課税なし。 ③口座残高がゼロとなり、その口座にかかる終了の合意があった場合。 | 変更なし |
贈与者死亡時の課税 | 贈与者死亡時の残額を相続財産に加算。(相続人でない孫等も2割加算対象外) | 贈与者死亡時の残額を相続財産に加算。(相続人でない孫等も2割加算対象) |
他の制度との併用 | 他の制度(暦年課税の基礎控除、相続時精算課税制度の基礎控除、住宅等取得資金贈与の非課税制度、教育資金の一括贈与の非課税制度)との併用可能 | 変更なし |
住宅取得等資金の贈与の改正内容
【贈与の限度額の改正】
①住居の費用の消費税が10%の場合
住宅取得の契約日 | 省エネ等住宅 | 左記以外 |
平成2年4月1日~令和3年3月31日 | 1500万円 | 1000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1500万円 (改正前1200万円) | 1000万円 (改正前700万円) |
②前記①以外
住宅取得の契約日 | 省エネ等住宅 | 左記以外 |
平成2年4月1日~令和3年3月31日 | 1200万円 | 700万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1000万円 (改正前800万円) | 500万円 (改正前300万円) |
【床面積要件の改正】
〇合計所得金額が1,000万円以下の場合
床面積要件の下限を『50㎡以上』⇒『40㎡以上』に変更
〇住宅取得等資金の贈与受けた場合の相続時精算課税制度の特例についても、床面積要件の下限を『50㎡以上』⇒『40㎡以上』に変更
ただし、相続時精算課税制度の適用を受ける場合は、従来通り受贈者の所得要件は課されない。
この改正は令和3年1月1日以後の贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用。