【FP1級監修】退職時の健康保険。任意継続と国民健康保険の選択方法
会社を退職した場合、いろいろな手続きが必要となります。その一つが健康保険の選択。健康保険の選択には大まかには任意継続と国民健康保険と扶養に入るの3種類があります。いずれの手続きを選択すべきか調べてみました。
目次
任意継続、国民健康保険、家族の扶養に入るの比較
任意継続、国民健康保険、扶養に入るにつきそれぞれの特徴は下記の通りです。
任意継続 | 国民健康保険 | 扶養に入る | |
加入条件 | 退職日までに継続して2ヶ月以上の被保険者期間があること | なし | ①家族が加入している健康保険組合で被扶養者として認定されること 目安:・年収が60歳未満→130万未満 60歳以上→180万未満 ・入れてもらう家族の年収んお1/2未満 ②退職給付をうけていないこと |
手続きの窓口 | 健康保険組合 | 市町村役場 | 家族が加入している健康保険 |
手続きの期限 | 退職の翌日から20日以内 | 退職の翌日から14日以内 | 期限なし |
保険料 | 退職時の標準報酬月額と上限金額のどちらか低い方 | 前年の年収により決定 | 負担なし |
加入期間 | 退職の翌日から2年間 | 制限なし | 制限なし |
メリット | 組合により付加給付あり 被扶養者の保険料負担なし | ・前年収入が少ないほど保険料は安くなる ・ | 保険料の負担なし |
デメリット | 2年間保険料が同一であり、2年目は国保に比べ、割高になるケースがある | ・「被扶養者」の考え方がない | なし |
どれを選択するか?
家族の扶養に入れるのであれば、扶養に入るのが一番です。ただし、失業保険の給付を受けている間は扶養に入ることができないので、再就職の意思がある方は任意継続と国民健康保険の2択となります。
任意継続と国民健康保険ではざっくりいうと、前年度、今年度の収入が多いかたは任意継続の方がお得になります。正確には居住地の市町村および健康保険組合により保険料が異なるため、それぞれで計算してもらうことが必要ですが、おおよその目安として加入者が本人のみの場合は年収500万前後が分岐点となります。被扶養者が2人いる場合で年収240万前後が分岐点の目安となるようです。(詳しくはこちらのブログ記事をご参照ください。)
任意継続被保険者制度の見直し(健康保険法)2022年1月1日施行
について
過去、任意継続と国民健康保険の選択で悩ましかった点は「1年目は任意継続の保険料の方が安いが、今後の収入の減少により2年目は国民健康保険の方が安くなる。2年間トータルでは国民健康保険の方が安くなるかもしれない。」というケースです。転職先が決まっており、年収の目処もついているケースでは概ね正確な保険料の計算も可能ですが、退職し、フリーランスとなるケースにおいては今後の収入金額の予想がつかないため、やってみないとどっちが得かわからないという悩みがありました。
任意継続した場合2年間は国保に転換することはできなかったため(故意の未納により脱退するという裏技はありましたが)に上記問題が発生していました。
2022年1月1日施行の任意継続保険者制度の見直しにより、以降は任意継続した保険者はいつでも自らの申し出により、国民健康保険への移行が可能となりました。
この改正により、任意継続と国民健康保険の選択については1年目の保険料の比較のみでよくなります。
まとめ
退職時の健康保険にかかる選択については、本人のみの場合は年収500万、扶養者が2人の場合は240万を基準にその額を上回るのであれば、任意継続を選択しておいて間違いありません。任意継続から、国民健康保険への乗り換えは可能ですが、逆はできなのでの、迷っているのであれば、とりあえず任意継続の手続きを行うことおすすめします。