20代で投資信託を始めるべき3つの理由

多くの方が興味を持っていても、中々始めることが出来ない。よく聞くけど、よくわからない。投資初心者にとって投資信託とはそういった存在ではないでしょうか?
そういった方に投資信託とは何かをわかりやすく解説します。

投資信託とは?

投資信託とは、投資家が手数料を専門家に払ってお金を運用してもらい、その運用成果を分配を受ける仕組みの金融商品です。といっても、個別に自分のお金の運用を専門家に依頼するのではなく、投資信託会社が色々なテーマで組成している投資信託(ファンド)の一部を投資家が購入するという形態となります。
2021年7月現在で投資信託の数は約1万4000本あり、内一般的に購入できる公募投信が約6000本となっています。この数の多さが、投資信託の特徴の一つであり、わかりにくい原因にもなって得います。

投資信託の特徴は?

投資からみた投資信託の特徴は
①少額から投資できる。
積立なら最低1000円から投資ができます。
②リスク分散ができる。
少額の投資でも、世界中の様々な投資先に分散投資が可能です。株式や債券等、複数の資産に分散投資できるため、ひとつの銘柄に投資するよりも、リスクの分散が期待できます。
③運用の専門家に任せられる。
知識および経験豊富な(?)ファンドマネージャーと呼ばれる運用の専門家(運用会社)が運用を担当いたします。
上記の特徴から、投資信託は少ない資金で投資を開始でき、運用知識が乏しくてもリスク分散投資ができることから投資初心者向けの商品とされています。

投資信託を買っている人はどんな人?

現在日本で投資を行っている人は2700万人で人口の26%。その中で投資信託保有者は人口の12%です。株式保有者は人口の21%なので、まだまだ投資信託の保有者は少ないですね。年代別に見ると20代で5.5%、30代で8%40代で8.9%50代で11.3%60代で16.3%70代以上で20%となっています。金融資産を豊富に所有しているのがシニア層と言うこともありますが、引退後退職金を原資に投資を始める人が多いことが、上記の理由と推測されます。

銀行の営業姿勢に問題あるのでは?

低金利が定着し、定期預金金利がほぼゼロで張り付いている現在、退職金でまとまった現金を手にすると多くの人が、何かで運用しなければ損をしているのではないかとの錯覚に襲われます。その錯覚を利用して、銀行は退職金プランとして、投資信託を50%以上、定期預金50%の抱合せプランを全面に打ち出して営業しています。多くの金融機関では「指定の投資信託」を50%以上購入すると、残りの50%の定期預金については当初3ヶ月間5〜7%という大幅な上乗せ金利が適用されるという設計になっています。
ここで問題なんのが、「指定の投資信託」であること。
投資信託には多くの種類がありますが、ここで指定されている投資信託は販売手数料が高額なものばかりで、定期預金の利息<投信の販売手数料という設計になっています。
投資信託は投資初心者向けの商品ですが、その理由の一つとが少額で始められる点にあります。そもそも投資初心者に退職金という多額の資金を一度に投資に回すことをすすめるのはいかがなものでしょうか?

退職金の運用はどうあるべきか?

そもそも退職金の運用はどうあるべきでしょうか?当然人それぞれなので、一概には言えませんが、若いときと比べ、退職後は収入が減少すること、運用期間が短くなること(若いときに比べ)年令を重ねるに連れ投資判断力が落ちるかの生があること等を考えると、一般的には高いリスクを取るべきではないとされています。
先ずは退職金をいつ何に使うのかを見極め、余った余裕資金について、慎重に投資を検討するのが良いのではないでしょうか?若い頃から投資に馴染んでいる方は、自身の経験を活かし、投資を行えば良いですが、退職金を手にするまで、元本割れの可能性がある投資商品の購入経験がない方は、投資については慎重な検討を行うべきです。

投資信託に本当に向いている人とは?

投資信託に限らず、投資に向いている人の第一の条件は、リスクを許容できる人です。具体的には投資した商品の相場が予想外に下落しても、慌てて解約するのではなく、持ち続けることができる人。あるいは、損を出したときに早めに損切りし、損を割り切れる人です。
投資経験がない人は特に損を出すことに敏感なので、損を出したときに想像以上の精神的ダメージを受けます。よくあるパターンでは、退職金で初めて投資を行い、短期間で損を出し、慌てて解約して、以後等投資は懲り懲りというものです。相場は常に上下しますので、特に短期的には損が出る確率は50%以上となります。(相場の上下が50%、+手数料があります。)一方、リスクを分散した商品を購入し、十分な時間がある場合には相当の確率で運用益を出すことが出来ます。(世界経済が拡大することが前提ですが)個人が機関投資家等に勝てる要素は個人は超長期投資を行うことができる点にあります。(最低でも10年以上)長く持ち続けると持ち続けただけ、勝つ確率は上がります。長く持ち続けることができる人。これが第二の条件です。
上記観点から投資に向いている人とは資産が多い人ではなく、安定的な収入があり、運用に関し時間的な猶予がある人です。つまり、定職のある若い人です。

若い人は投資をどう思っている?

株式会社SheepDogが運営する、STRATE[ストラテ]が行った、2021年7月の『(10代・20代向け)投資や資産運用に関するアンケート』によると、10代で投資運用に興味を持っている人の割合は44%、20代では59%にのぼります。一方、20代での投資経験の割合は14%で、興味は歩けとやっていない実態が浮き彫りとなります。投資を行っていない理由としては「十分な知識がない」「損をすることが不安」「難しそう」といった理由が挙げられます。
つまり、若い人は投資に興味はあるものの、実際に行っている人の割合はまだまだ少ないのが現実です。
若い人にとって投資をスタートするのに適した商品が積立型の投資信託です。

投資信託ってどんな種類があるの?

投資信託は大きく分けると株式投資信託と公社債投資信託にわけられます。株式投資信託は株式を組み入れることができる一方で、公社債投資信託は公社債やCP・CDやコールローン等短期金融商品で運用し、株式を一切組み入れることができません。
投資する地域別では国内、海外、内外にわけられ、収益の源泉による分類では株式、債、券不動産投信、コモディティ(原油、金、穀物等)に分けられます。
投資初心者の方にぜひ知っていてほしい区分は運用方針で、「アクティブ運用」と「パッシブ運用」があるというものです。
「アクティブ運用」ベンチマークを超える運用成績を目指す投資信託で、「パッシブ運用」ベンチマーク通りの運用を目指すものです。ベンチマークとはその投資信託が運用する際に目標とする基準で、例えば国内株式に投資する投資信託ならTOPIX(東証株価指数)や日経平均株価などインデックスが採用されます。
「アクティブ運用」はインデックスを超える運用成績を上げることもあれば、インデックス以下の成績のこともあり、まさにファンドマネージャーのうで次第です。ファンドマネージャーが独自の調査等により積極的に資産の組み換え等を行うことから、信託報酬は比較的高めです。
「パッシブ運用」はインデックス運用とも呼ばれ、そのインデックスに追従する運用を行います。ほぼ機械的な運用となるため、信託報酬は一般に低く徹底されています。

アクティブ運用の現実

平成29年3月30日の金融庁の投資信託に関する説明資料によると、日本の投資信託の問題点として
①日本の投資信託はアクティブ運用が中心で純資産額上位10商品はすべてアクティブ運用(アメリカはアクティブ50%パッシブ50%)
②日本の投資信託の内純資産額上位5商品の販売手数料は3.2%、信託報酬は1.53%
に対し、米国の投資信託の販売手数料は0.59%信託報酬は0.28%と日本の投資信託の手数料が高額であることが際立つ。
③上記の投資信託の過去10年の平均収益率は日本は▲0.11%に対し、アメリカは5.2%であり、日本の収益率の低さが際立つ
④下記の表の通り、信託報酬と平均リターンに正の相関関係はなく、信託報酬が高いほどリターンがマイナスの割合が高い。

⑤2016年3月時点の純資産上位10本に付き積立NISAの基準を当てはめた場合、対象となるものはない。
これは金融庁が万人に進められる投資信託は上位10本のにはないと言っていると解釈できる。

この金融庁のレポートはつみたてNISAを開始するにあたって対象投資信託を設計する際の検討資料です。
この資料における金融庁のメッセージは、「日本で販売上位の投資信託は手数料の高いアクティブ型が中心。高い手数料に関わらず、収益率は低く、顧客目線の商品となっていない。アメリカは手数料の低いインデックス型が中心であり、積立NISAの対象投信はインデックス型の投資信託を中心とすべき」というものです。
アクティブ運用で、好成績の実績を上げている投資信託もありますが、それは比較的小規模の投資信託のようです。アクティブ運用は平均ベースでは、インデックス運用に勝てないというのが実態です。
 現在ネット証券で株式売買を行った場合の手数料は0.1%程度です。その中で3%以上の販売手数料を取る投資信託はそもそも顧客保護の観点から問題があると思います。

初心者におすすめできる投資信託とは

金融庁はつみたてNISAの開始に当たり、投資対象商品を限定しました。その主な要件は以下の通りです。つみたてNISAの基準は、つみたてNISAを使わない場面でも投資信託を選ぶ際のよい指標となります。

長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(対象商品についてはこちら
○例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの

  • 販売手数料はゼロ(ノーロード
  • ・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
  • ・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
  • 信託契約期間が無期限または20年以上であること
  • ・分配頻度が毎月でないこと
  • ・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと

その中でも、投資初心者はできるだけ信託報酬の安いインデックス型運用の商品を選択すべきです。

投資信託を20代で始める3つの理由

投資信託を20代で始める3つの理由は下記のとおりです。
①投資信託で勝つためには時間を味方に時間的分散投資を行うことが最も有効であること。
あらゆる投資は短期的には相場変動により、勝つこともあれば、負けることもあります。一方、長期分散投資を行った場合は、その期間が長ければん長いほど、高い収益を上げられる可能性が高くなります。


②投資は経験が重要。20代から投資に馴染んでおくべき。
ゼロ金利が定着し、定期預金で運用していても、利息はほぼゼロの時代が続いています。今後しばらくはこの金利環境が継続することが予想されます。
金融庁のデータによると、1995年からの20年間で、アメリカの家計金融資産は3.14倍になりました。それに対し、日本の家計金融資産は1.51倍の増加にとどまります。当初保有していた資産を100万円とすると、その差は163万円にものぼります。この差を生んだのが、アメリカと日本の個人資産における株式・投資信託等による投資運用の割合です。2016年時点では、日本では18.6%にとどまるのに対し、アメリカでは46.2%にものぼります。アメリカではなんと5割近くを運用資産として保有しているのに対し、日本では全体の5分の1以下にとどまるのです。家計資産を増やすためには投資運用が必須であることがわかります。
一方、投資で損をしないためには知識と経験が必要です。そのための経験を得るには若いうちから投資を開始することをお奨めします。

③つみたてNISAの存在。
つみたてNISAは毎年40万円を上限として積立型の投資信託等につき最長20年間その分配金、利益等が非課税になる制度です。一年間の上限金額が少額である一方、非課税期間が長いため、若年層の資産形成の強い味方となる制度です。つみたてNISAの対象商品は金融庁のガイドラインをクリアした商品のみとなっていますので、比較的安心して購入することが出来ます。20代で投資を始めたい方はつみたてNISAにより投資を開始するのがいいのではないでしょうか。

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