事業再構築補助金 認定支援機関の活用方法

 今注目の「事業再構築補助金」。まず何をしたらよいのかわからない。誰に相談したらよいかわからない。サポートの依頼はどんな機関を利用すべきか?報酬の相場は?といった疑問にお答えします。

事業再構築補助金の概要

 まずは事業再構築補助金の概要のおさらいです。
・概要 コロナの影響で、経営に困難をきたしている中小中堅企業、個人事業主を対象とし、思い切った事業再構築にかかる設備資金等に対し、補助金の支給を行うもの。

・主要な申請要件 (1)コロナにより売り上げが減少していること。(2)事業再構築に取り組むこと。(3)事業計画は認定経営革新等支援機関と策定し、「経営革新等支援機関による確認書」を提出すること。補助金額が3000万円を超える事業計画は金融機関及および認定経営革新等支援機関(金融機関が認定支援機関を兼ねる場合は金融機関のみで可)と共同で策定する必要があり、「金融機関による確認書」の提出が必要です。

・補助額 中小企業 【通常枠】100万円から6000万円 補助率2/3
     中堅企業 【通常枠】100万円から8000万円 補助率1/2

・補助対象経費の例
 〇建物費〇機械・システム〇技術導入費〇外注費〇広告宣伝費〇研修

・補助対象外経費の例
〇不動産、株式、公道を走る車、パソコン等汎用品。(補助対象事業以外でも汎用的に利用可能なのもの、換価性の高い資産は対象となります。) 〇フランチャイズ加盟料、販売する商品の原材料

・事業計画の策定
 〇合理的で説得力のある事業計画の策定が必要で、補助金の審査は事業事計画をもとに行われます。事業計画に含めるべきポイントは、下記のとおりです。
  ①内部環境分析、外部環境分析、SWOT分析より事業再構築の必要性
  ②事業再構築の具体的な内容
③事業再構築にかかるマーケティング
④事業実施にかかる体制、スケジュール、資金調達が可能であり、付加価値の増加が見込めること。

事業計画の策定はどうすればよい?

 事業再構築補助金の活用を考えている皆様の最大の難関は事業計画の策定です。事業再構築補助金を活用するためには①現在事業を行っているが、コロナの影響により事業環境が変化し、経営に困難をきたしていること。②その事業環境の変化に対応すべく、既存事業とは異なる領域での事業展開を考えているもしくは従来とは異なる手法の採用を考えていることが必要です。
コロナで経営が大変で、補助金は欲しい。でも何をするかは補助金をもらってからじっくり考えたい。という方は申請の対象にならないのでご注意ください。
 事業をよくするためには「現状とは違う何かをしなければならないのはわかっている」けど「何をしたらよいかわからない」。「資金ができたら考える」。「とりあえずコンサルにまかせるので、うまい具合に申請してほしい」と思っておられる方もいると思います。ですが、事業再構築補助金は計画書に記載した使途以外にお金を使うことはできません。実施事業が決まっていない方は申請対象にはなりません。また、実施事業は決まっていても、補助率は100%ではないので、実施事業により経営が好転するのかを十分に事前検討することが必要です。
 事業再構築補助金に関する計画は、中小企業者が経営相談等をする相談先として、専門的知識や実務経験が一定以上レベルのものに対し、国が認定した機関である「経営革新等支援機関」と共同して作成することが申請上の要件となっています。実施事業の事業性につき早い段階から「経営革新等支援機関」に相談することをお勧めします。

支援機関のサポートの内容は?

 支援機関によるサポートの内容は様々ですが、事業再構築補助金申請にかかる段階により下記3点に分類されます。

①実施事業の事業性評価、投資判断にかかる相談
 企業の内部環境分析、外部環境分析より、企業がとるべき今後の戦略の検討材料の収集・分析を行う。経営者のアイディアの実現にかかる事業性をマーケティングの見地から整理する。実施にかかりすべき道筋等につき助言する。本質的な経営コンサルタントの仕事分野です。

②計画書・補助金申請書の作成
 実施する事業が確定していることを前提に、実施事業を第3者に分かり易く説明するための資料作りを代行する。補助金申請については、申請要件、採択のための採点ポイントを踏まえ、採択されやすい申請書の作成を行う。

③交付決定後のフォローアップ
 事業再構築補助金においては、交付決定後、補助事業実施期間=実際に設備を購入する期間があり、確定検査後補助額が確定し、その後に補助金が支払われます。また、補助事業実施の次年度から5年間、再構築事業の事業化状況に確認のため、年次報告が必要です。交付決定後も厳格な書類提出が求めたれるため、交付決定後の提出書類の対応等のサポートをおこなってくれます。

 本質的には①が最も重要なコンサルの仕事ですが、実際には②のみ、もしくは②と③を請け負う業者が多いものと思います。サポートを依頼する場合はどの部分までサポートしてほしいのか、コンサルは領域はどこまでをカバーしているのかよく確認が必要です。

サポートを頼む相手のおすすめは?どの支援機関を活用すべきか?

 事業再構築補助金を管轄している中小企業庁は、「事業計画は、認定経営革新等認定支援機関と相談しつつ策定する」ことを要件しています。認定経営革新等支援機関とは、中小企業を支援できる機関として、経済産業大臣が認定した機関です。全国で3万以上の金融機関、支援団体、税理士、中小企業診断士等が認定を受けており、中小企業庁のHPで検索することかが可能です。

主要な経営革新等支援機関の特徴を表にまとめてみました。下記の評価は筆者による勝手格付けですので、一個人の参考意見としてご参照ください。

支援機関の種類①実施事業の事業性評価にかかる相談②計画書補助金申請書の作成③交付決定後のフォロー④実施事業にかかる資金支援費用コメント
取引銀行××無料≪おススメ≫
①~③は担当者の能力次第だが、ほとんど期待しない方がよい。自力で①~③ができる事業者には最もおススメ。②③のサポート希望する事業者には有料コンサルを紹介してくれる銀行もある。
商工会・商工会議所×無料各商工会・商工会議所のマンパワー次第。本来経営指導員①~③についてのサポートを行ってくれるが、事再構築補助金については、相談が殺到しており、十分な対応が困難と思われる。東京商工会議所は1)会員で2)事業計画作成済みの企業に限定し、3)確認書の発行を検討する方針と発表している。
さいたま市産業創造財団≪お得く≫
無料で制度にかかる相談ができる。事業計画の策定にかかる専門家派遣事業(5回まで無料)を行っている。また有償コンサルを使用する場合、費用の一部補助(補助率1/2 上限50万)の制度あり。事業再構築補助金の交付決定を受けた事業者の方に対して、上乗せ補助(自己負担額の1/2 上限200万)の制度もある。さいたま市の事業者は活用すべき。他の市町村も同様の制度があるかも?
よろず支援拠点×××無料≪おススメ≫
各拠点とも事業再構築補助金にかかる情報発信を積極的に行っており、本補助金にかかる色々な相談対応を積極的に行っている。相談は何回でも無料であるが、時間制であり、計画書の作成等代行は行っていない。事業計画策定支援にかかる専門家派遣事業に対応してくれる拠点もあるかも。
中小機構×××無料事業再構築補助金の受託事務局となっており、直接的な支援は行えない立場。実施事業にかかる相談には専門家相談の活用可能と思われる。
中小企業診断士×有料≪おススメ≫
①は中小企業診断士の本来業務であるが、①は顧問契約を行っているケースでないと対応は難しいかも。診断士個人の得意分野にもよる。補助金申請を得意とする診断士は②③がサポートの中心のケースが多い。
計画書の策定は診断士の専門分野であり、かつ補助金申請を得意とする診断士は採択のための計画書のポイントを熟知しているので、採択率は他の支援機関より高いと推定される。
行政書士××有料経営コンサルもおこなっている行政書士であれば、①~③の対応可能。行政書士は経営の専門家ではないため、一般的には計画書の策定には不向き。
顧問税理士
×有料経営コンサルも行っている税理士であれば①は対応可能。②③は専門外なので、通常は不向き。税理士事務所によっては②③は外注している模様。
コンサルティングファーム×高額通所はPJ単位で受注しているので、実は①ができるファームは少ない。会計系のコンサルは分析は得意でも経営の専門家ではないので、②③に対応しているかはファーム次第。

サポート費用の相場は?

 上記②③に対し、事前相談無料、手付金10万円、成功報酬で補助金額の10%というのが一般的な相場観です。但し、補助金額6000万の場合、サポート費用が6百万というのは個人的には高すぎるとおもいます。補助金額に関わらず、コンサル側の工数はそれほど変わらないので、補助金額が多いい場合は相当なディスカウントが可能と思われます。補助金額が大きいケースでは複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。

 また、上記②しか行わない業者もあるようです。ご契約の際は、サポート内容が上記①~③のどこまでのサポートなのかよく確認することが重要です。

おススメの手順は?

事業再構築補助金の利用にかかるししまるが考えるおススメの手順は以下の通りです。

①よろず支援拠点を活用し、制度の概要を理解の上、実施事業のアイディアのブラッシュアップを行う。自社で可能な範囲で実施事業の事業計画(ラフなものでOK)を作成してみる。

②上記事業計画を取引金融機関に相談し、実施事業にかかる融資可否の打診を行う。融資不可の場合は、事業の練り直しを行う。

③自社作成事業計画をもって、補助金申請が得意な中小企業診断士に補助金申請にかかる計画書の作成を発注する。(可能であれば複数の診断士より見積りをとることをお勧めします。)

④出来るだけ、上記「交付決定後のフォロー」も行ってくれる業者の方がよいと思います。

まとめ

・事業再構築補助金は過去例がない大型補助金であり、ぜひ活用を検討すべき!
・経営革新等支援機関の活用は必須。銀行にも早めに相談すべき!
・申請にかかる計画書の作成サポートは中小企業診断士がおススメ!
・サポート報酬の金額には注意!相場と大きくかけ離れたコンサルは要注意!

事業再構築補助金にかかるご相談は完全無料(※)でお答えしますのでご気楽にご連絡ください。(可能な限り・・)

(※)完全無料の理由(企業内診断士で兼業不可のため報酬は受け取れないので)


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