FP1級実技対策ノート⑭個人事業の法人化

 こんにちは中小企業診断士のししまるです。本日はFP1級実技対14回。個人事業の法人成についてのお話です。

法人成とは

 法人成とは、個人事業主が株式会社等を設立し、事業を法人に継承することです。一般に事業規模が拡大すると、税制上や資金調達等において、法人の方が有利です。また、事業承継の観点からも、個人事業より法人の方がスムーズな事業承継が可能となります。

 個人事業の承継対策として個人版事業承継税制が制定されましたが、法人成を行い法人版事業承継税制の活用を検討する方が、より円滑な事業承継が可能となります。

法人成のメリット

  • 社会的信用度が向上する。
  • 資金調達が容易となる。
  • 収入が多い場合は法人の方が税金が安い。
  • 所得の分散が可能
  • 事業承継上の税負担、事務負担が軽い。
  • 欠損金の繰越控除期間が10年間となる。

法人成のデメリット

  • 設立費用がかかる。
  • 決算関連等の事務処理が煩雑化する。
  • 社会保険の負担が増加する。
  • 赤字の場合でも税金が発生する。
  • 役員報酬の変更は年1回しかできない。
  • 交際費が年間800万を超えると損金算入できなfい。(資本金1億以下の会社)

個人事業主と法人の税負担の比較

個人事業主と法人の主な税負担について比較してみました。

項目個人事業法人代表者個人(給与所得)
所得税・法人税5%~45%15%~23.2%5%~45%
所得控除・青色申告特別控除65万(e-TAX利用時)
・基礎控除 48万(合計所得2400万以下)
・給与所控除 55万~195万
・基礎控除 48万(合計所得2400万以下)
個人住民税・法人住民税10%法人税×12.9%+7万円10%
個人事業税・法人事業税3%~5%3.4%~6.7%なし

単純に税負担のみを考えた場合、年間200万~300万以上の所得がある場合は法人成した方が、税額が安くなる可能性が高いです。

法人成の手続

  • 法人を設立する
  • 個人の事業用資産を法人に移行する。
  • 個人事業の廃業手続きを行う。

個人事業の事業承継と法人成

 個人事業を後継者に承継する場合、事業用資産については売買や譲渡により移転することができますが、事業に必要な許認可を引き継ぐことはできません。また仕入先、販売先、金融機関との契約についても、いったん契約を解消し、後継者が再契約を行なうことが原則となります。
 個人事業は事業と個人が一体不可分であり、その個人の信用で成り立っているため、個人が事業をやめた場合、事業を後継者に引き継ぐことは大変な困難が伴います。
 円滑な事業承継のためには、法人成により、個人と事業を分離し、後継者の育成を十分に行うことが重要です。法人化した後であれば、代表者変更と株式移転によりスムーズな事業承継が可能となります。

まとめ

・一定規模以上の事業を行っている場合、法人成のメリットは大きい。
・特に事業承継上の観点からは法人成は必須。
・個人事業から法人なりすべきタイミング等については税理士等と相談することが肝要。

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