【FP1級実技対策】⑳不動産の有効活用
こんにちは中小企業診断士のししまるです。本日はFP1級実技対策ノート20回。不動産の有効活用についてのお話です。
不動産は持っているだけで固定資産税がかかります。持っているだけで活用していない不動産はコストだけかかる「負動産」となってしまします。将来においても活用する見込みのない土地は早めに売却を検討すべきですが、色々な事情で売却したくない場合は、賃貸による収益化が有力な選択肢となります。本日は土地を賃貸する際の主なスキームについて分かり易く説明します。
目次
土地活用の種類
不動産の収益化のためには、その土地の性格に合った活用が何より重要です。周囲の環境や用途地域、道路付け、大きさ等により、その土地をどう利用すれば最も収益を得られるのか十分な検討が必要です。
土地の価値はその土地の上に建物を建て、活用することにあるので、土地の収益性を高めるためにはその土地の上に建物を建てることが必要となります。土地の上に建物を建て収益化するためには様々な方法があります。主な方法は下記の通りです。
(住居系)
①普通借地
②定期借地
③アパートマンション経営
④アパートマンション経営(一括借り上げ)
⑤等価交換によるマンション経営
(商業系)
⑥普通借地
⑦商業ビル経営
⑧ロードサイド店舗(事業用定期借地)
⑨ロードサイド店舗(建設協力金方式)
土地活用の形態別の特徴
土地活用の形態別に特徴を表にまとめました。
(住居系)
項目 | ①普通借地 | ②定期借地 | ③アパート経営 | ④アパート経営(一括借り上げ) | ⑤等価交換によるマンション経営 |
契約期間 | 30年以上 | ・一般定期借地権50年以上 ・建物譲渡特約付借地権30年以上 | ・普通借家契約 1年以上 ・定期借家契約 定めなし | ・任意であるが一般的には最長35年 | ・普通借家契約 1年以上 ・定期借家契約 定めなし |
建物の所有 | なし | なし | 有 | 有 | 有 |
資金調達の要否 | なし | なし | 有 | 有 | なし |
土地建物の返還・土地所有者による契約解除 | 困難 | 契約期間中は困難であるが、期間満了時には返還 | 普通借家契約の場合は貸主からの契約更新拒絶は「やむを得ない理由」が必要 | 普通借入契約に準じる。 | 普通借家契約の場合は貸主からの契約更新拒絶は「やむを得ない理由」が必要 |
土地の権利の保全 | 大幅に制限される | 一部制限を受ける | 保全される | 保全される | 保全される |
流動性 | 低い | やや低い | 普通 | 普通 | 高い |
管理運営 | 不要 | 不要 | 必要 | 原則不要 | 必要 |
相続対策としての効果 | ややある | ややある | ある | ある | ある |
所得税の節税効果 | なし | なし | ある | ある | ある |
事業リスク | なし | なし | 高い | やや高い | 普通 |
収益性 | 低い | 低い | 高い | やや高い | 高い |
(商業系)
項目 | ①商業ビル経営 | ②ロードサイド店舗(事業用定期借地) | ③ロードサイド店舗(建設協力金方式) |
契約期間 | ・普通借家契約 1年以上 ・定期借家契約 定めなし | ・10年以上50年未満 | ・5年~20年程度が一般的 |
建物の所有 | 有 | なし | 有 |
資金調達の要否 | 有 | なし | 有 |
土地建物の返還・土地所有者による契約解除 | 普通借家契約の場合は貸主からの契約更新拒絶は「やむを得ない理由」が必要 | 契約期間中は困難であるが、期間満了時には返還 | 普通借家契約の場合は貸主からの契約更新拒絶は「やむを得ない理由」が必要 |
土地の権利の保全 | 大幅に制限される | 一部制限を受ける | 保全される |
流動性 | 普通 | やや低い | やや低い |
管理運営 | 必要 | 不要 | 不要 |
相続対策としての効果 | ある | ややある | ある |
所得税の節税効果 | ある | なし | ある |
事業リスク | 高い | 低い | やや高い |
収益性 | 高い | 低い | やや高い |
まとめ
・土地活用において収益性、相続税対策上の効果を高める為には建物の自己所有が必要。
・建物を自己所有し、自分で管理することが一番収益性が高いが、一方で空き家となるリスク、管理負担がある。
・上記を回避するためには一括借り上げ、建設金協力方式等が有効であるが、左記は超長期にわたる契約となることが多いので、契約内容、長期的な収支等は十分な検討が必要。