FP1級実技試験 再現録(1)
こんばんは中小企業診断士☓1級FP技能士のししまるです。本日は私のFP1級実技試験の再現録を公開します。
目次
会場到着から試験開始まで
試験会場に到着すると、まずは受付があり、氏名等を確認後、全体の待合室に通され、そこで一旦待機となります。そこで集合時間まで待機したあと、10名づつの組に別れ、控室に移動となります。
控室ではスクール形式で机が並んでおり、指定された席で待機します。
面接開始の15分前より、別席に移動し、設問を読む時間となります。(12分程度)
設問に書き込み等は自由で、その設問ペーパーは面接時に持参します。
その後時間が来ると、面接室に移動するように指示があり、面接開始となります。
試験問題
私の受験日は2021年6月6日でPARTⅡ⇒PARTⅠの順での受験でした。
実際の受験問題はこちら。過去あまりないパターンの問題で、面接前に読んだ時、内容が頭に入らず、プチパニック状態となりました。
面接再現録
(ししまる)失礼します。ししまると申します。本日はよろしくお願いいたします。
(面接官)よろしくおねがいします。この問題はちょっと難解ですよね。内容はわかりましたか?
(ししまる)中々複雑だと思いました。
(面接官)そもそもFさんが住む土地乙に借地権はあると思いますか?
(ししまる)FさんとAさんの間に契約も、権利金の授受もなく、地代も固定資産税相当額だと、使用貸借と見なされるので、借地権は発生しませんが、詳しい権利関係については弁護士に確認する必要があると思います。
(面接官)そうですね。では、今後の話として借地権は発生しない前提としましょう。
(面接官)本件でAさんに直接確認することは何ですか?
(ししまる)Aさんの今後今の財産状況と今後のライフプランを聞きます。今後この土地に住み続けたいのか?Fさん建物を買取るとして、資金的な問題はないのかを伺います。
(面接官)他にはありませんか?
(ししまる)土地の権利関係に関する情報を聞きます。
(面接官)AさんはḠさんHさんに対する贈与も検討していますが、その観点から聞くことはありませんか?
(ししまる)将来的な相続に対するAさんの考えを伺います。
(面接官)あなた自身が確認すべき情報は何ですか?
(ししまる)土地の価格の妥当性を調査します。まずは現地確認と、法務局での権利確認、市役所で用途地域、利用規制等の調査を行います。
(面接官)市役所はどこに行きますか?
(ししまる)都市計画課です。
(面接官)Fさんの申し出をどう思いますか?
(ししまる)心情的には理解できます。価格的にも妥当性はあると思います。
(面接官)借地権はないんですよね。
(ししまる)法的に争った場合は勝てない可能性が高いと思いますが・・・
(面接官)では、Aさんの対応をして1案の場合の問題はありますか?
(ししまる)借地権がないと、建物のみの譲渡となるので、マイホームの譲渡にかかる3000万の控除の適用が出ません。
(面接官)Aさんは2000万の建物を4000万で買うことになるのですが、問題はありませんか?
(ししまる)・・・・
(面接官)時価の2倍での売買ですが。
(ししまる)贈与とみなされる可能性があります。
(面接官)そうですね。では2案の場合、Ḡ、Hへの贈与はどのようにすべきですか?
(ししまる)教育資金の贈与を使うことにより、贈与税がかからなくなります。但し、使途が限定されているので、新しい住宅の購入資金にはできません。
(面接官)他にはどのような方法が考えられますか?
(ししまる)・・・・
(面接官)相続時精算課税制度は使えませんか?
(ししまる)相続時精算課税を使うと、贈与税はかかりません。
(面接官)FPとしてアドバイスするなら、どの方法をすすめますか?
(ししまる)相続時精算課税による贈与を勧めます。但し、他の相続人との公平性等については十分考慮する必要があります。
(面接官)本事案にかかる専門家について教えて下さい。
(ししまる)権利関係にかかり、弁護士。税金関係で税理士。不動産価格にかかり、不動産鑑定士。不動産売買契約にかかり宅建士。不動産登記にかかり、司法書士が考えられます。
面接後の所見
面接官が優しい方で、誘導していただいたのですが、上記の通り、試験の肝の部分はシドロモドロで結構やばめ。終わったときは100点満点で60点あるかどうかというのが率直な感想です。
曖昧な回答となってしまったのは使用貸借上の建物の評価とその売買に対する知識があやふやだったことが原因です。知識として、使用貸借と見なされる場合は借地権は発生しない。ということは知っていました。が、一方で使用貸借でも、建物が立っているので住む権利はあり、Aさん側にもFさんを支援したい気持ちがあるのであれば、1案「Aさんが建物を4000万で買い取る」でよいのでは。思っていました。AさんとFさんは親子間ではないので、使用貸借解消に伴う売買であることを考えれば、高額譲渡にも当たらないと思っていました。
2案を採用した場合、新しい家を購入するに際し、ḠHよりFに貸付を行う又は、家の名義をFḠHの共同名義とする等の対応が必要であり、2案を採用することはないというのが当初の思いです。
この再現録を起こすに当たり、いろいろ調べて見たのですが、イマイチ正解がスッキリしません。
本件の教訓
本件の教訓は下記の通りです。
①過去問とは違うパターンの問題も出題され、曖昧な知識だと変化球には対応できない。
②答えに詰まっても、面接官が誘導してくれる。
本件回答の点数が何点であったかは定かではないのですが、面接の雰囲気をお伝えすることで、皆様のFP1級実技試験対策の参考にしていただけると幸いです。(つづく)
尚、FP1級実技不動産分野のポイントについてはリンクを参照ください。